映画紹介①MEMENTO

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飯田 雄仁

筆者 飯田 雄仁

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映画紹介①MEMENTO


こんにちは!アル中映画マニアです!

 

1回目にご紹介したいのは、私の大好きな映画「メメント」です。日本語訳だと「記憶する」の命令形、「忘れるな」とか「思い出せ」といった意味になるそう。



この映画は10分程に区切られたシーンを逆の順番で並べ、「前シーンの行動の理由が後シーンで判明することが続く」という構成になっています。

なぜこのような手法を取っているのかというと、この映画の主人公は過去に強盗に襲われ妻を殺された際、自身も頭を強く打ち付け新しいことが全く覚えられない記憶障害を患ってしまいます。(前向性健忘)

 

強盗に襲われるまでの記憶はありますが、そこから先の新しいことが全く覚えられず、誰かと話していたり目的地に向かっていても「あれ、今俺何してるんだっけ?」と、自分が何の為に何をしているのかもすぐにわからなくなってしまう症状を抱えています。つまり、「今なぜこんな事をしているのかわからない」主人公と全く同じ体験が出来るのです。

 

断片的な記憶のピースを集めながら、事件の真相に迫っていくことはもちろん、主人公の焦燥や混乱を通して、観る側の探究心を上手にくすぐってくれます。

 



主人公、引いてはこの映画の主目的は「自分の妻を犯し殺した人間を見つけ出して殺すこと」です。

警察が事件の捜査を放棄した殺人犯を新しいことの記憶が全くできない状態で探し続けます。

 

主人公は犯人探しに関わる重要な「事実」を身体にタトゥーとして刻み、その「事実」と数々のメモ、ポラロイドカメラの写真を頼りに犯人を追いかけます。

この過程において、記憶の保てない主人公を利用しようとする人間が出てきたり、一時の激情で書き殴ったメモに翻弄されたり、これらの犯人に関わる情報が真実なのか、誰かが仕組んだものなのか、主人公は一切区別がつきません。

この曖昧さが常に登場人物に対する疑念を抱かせてくれるとともに、物語に緊張感も与えてくれています。

 

この映画の最初のシーン(物語としては最後のシーン)で主人公はある1人の男を殺します。

「そいつは本当に自分の探していた人物なのか、殺してしまったら自分がこれから生きる意味は?」と、葛藤を抱えはしますが、数分後にはそれさえも忘れてしまいます。

 



そんな主人公の不安定で危うい復讐劇を追体験が出来るよう、映像の構成から綿密に作り上げられた非常に完成度の高い映画です。

 

記憶由来の本人にとっての事実、その外側にある真実、生きる目的やアイデンティティとその探究、みたいな人間の普遍的なテーマにも片足突っ込み、今一度考える機会をくれる映画だな、とも感じています。

 

1回見ただけではわからないことも多く、2回、3回と何度も見返したくなる映画です。

 

ノーラン作品の時間トリックを使った作品はこれ以降、より難解に複雑になっていきますが、引き込まれること間違いなしです。いつか他の作品もここで取り上げますので気長にお待ちいただければと思います。


P.S.マジで2回みることになるから頑張って


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